中国白タクアプリ『滴滴出行』が今度は台湾へ

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白タクアプリは台湾にも

2018年春に日本へサービス展開を始める中国白タクアプリこと『滴滴出行』。今度は台湾への進出を始めるようで運転手の募集を開始している。サービスへの注目は高いが、どうなるのだろうか?

運営許可は待たずフライング

今回の運転手募集の告知は、Facebook上に先行して開設されたサイトにて発表されている。

滴滴出行の運営母体ではなく、台湾のパートナーである樂迪科技有限公司が運営しているサイトになっている。同サイトには運営母体からブランド名、商標およびアプリの利用権限を取得している旨が記載している。

台湾のタクシーも日本と同じで国が所管しており、営業許可が必要であり、白タクは禁止されている。日本における同社のサービス展開では、日本のタクシー会社とタッグを組んでサービスインを目指しているのは、お伝えしたとおりだ。

中国白タクアプリ『滴滴出行』が日本へ侵略
本当の意味での”ぶっ壊し”がやってきた? 中国のライドシェアサービス最大手『滴滴出行』が日本へ正式サービスを開始する。日本の道路行政は業者寄りと言われて久しい。そのため歓迎する声もある。しかし、本当にそうだろうか?

今回の発表は、台湾当局の許可を待たないで先行してやっているようだ。そのため、一部のメディアでは法律上の適合性について疑問を投げかけている。

交通部政務次長王國材表示,依據法規計程車客運服務業不得有陸資,並先通過經濟部投審會審查,且若要在台經營計程車業也必須經過申請,符合「納稅、納管、納保」規定,接受交通部管理;不過滴滴若是透過科技公司「代理」業務,究竟是否為陸資及其後續經營模式為何,詳細情形需再了解。

滴滴出行進軍台灣!宣布召募司機 交部:嚴查

もっとも、単にタクシードライバーの登録募集だけであれば法律違反というわけではないので、先行して準備しようというところか。

Uberはサービスの仕切り直し

台湾は中国大陸と異なりネットの規制がない。そのため、白タクアプリのパイオニアである米Uberは、先行して台湾でサービスを開始していた。

しかし、上述のとおり台湾では白タクが禁止されているため、交通部(日本の国土交通省にあたる)とトラブルを起こして、同部がUberに対して多額の罰金(2,500万NTD、日本円で約9,000万円)を課して事実上のサービス停止に追い込まれていた。

Uber今天下午將召開記者會,說明未來在台的新營運模式,交通部長賀陳旦在立法院交通委員會表示,目前掌握Uber將和租賃業者合作,背後提供科技服務,並沒有違反規定,只要Uber配合納管、納稅、納保就不會做任何取締,交通部樂見Uber在台營運。

Uber回歸台灣 賀陳旦:納管、納稅、納保就不取締

台湾の国土交通省が掲げる三納原則(”納管、納稅、納保”-車両などの管理、売上からの納税、事故やトラブルの保険対応)があいまいな状態で、サービスイン。その後、トラブルを起こしたのである。

その後、同社は現地法人2社と合同サービスであるUber Taxiとして今年の10月に仕切り直しをしている。現地の規制を乗り越えるために、パートナーと組まざるをえなかったのだろう。

叫車服務Uber今天宣布與亞太衛星車隊、皇冠大車隊、Q Taxi合作,在台北市率先推出Uber TAXI服務,期待能減少計程車駕駛空車繞行時間,並提供乘客更安全、可靠的乘車選擇。

Uber TAXI上路!台北市率先推出5年內新車

今回、滴滴出行の運営母体が直接法人を作らず、現地の代理店経由で台湾へ進出するのもUber事件を考慮してであろう。さらに、中国政府が推し進める世界で飯が食べられる中国IT産業のお手本ともなるので、政経一体イベントの1つになる。

もっとも、その中国政府は経済進出を加速させる一方で、政治面ではトラブルが続く。先日も岩波書店の「広辞苑」に台湾が中国の一部という表記について、以下のように放言。台湾のネット上では激しく叩かれている。

岩波書店の国語辞典「広辞苑」で台湾が中華人民共和国の一部として表記されている問題で、中国外務省の華春瑩報道官は18日、「台湾が中華人民共和国の一つの省ではないとでもいうのか。台湾は中華人民共和国の不可分の一部だ」と記者会見で主張した。

「台湾は中華人民共和国の不可分の一部だ」 広辞苑「台湾」表記問題で中国 中台の間に立たされた岩波書店

とは言え、台湾への進出は同じく規制が強い日本への進出の道標になるのは間違いない。今後のサービス展開を見守りたいところである。

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