自力でやる帰化申請-許可から更新申請いろいろまで

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帰化申請のあともあるある!手続きの山

前回までで、日本国籍への帰化許可申請に必要な手続きや書類、申請後の面接などを紹介した。今回は、申請が開始されて許可が降りたあと待っている手続きをご紹介。今回までの処理が終わると、一段落して無事”日本人”となる。

前編の7,000字ほどではないが、後編も4,000字ほどあるので覚悟して読んでいただきたい。

”告示の日”にあなたは日本人

前回紹介した帰化許可申請に必要な書類が揃い終わって、手続きが終わると、やることはない。ひたすら待ち続けることになる。

審査が始まってから、許可にどのくらい時間がかかるのか?は、申請する人のもっとも関心があることのようで、検索候補に必要書類とならんで出てくるほどだ。

帰化専門でやっている業者(行政書士、後述する)のサイトを見ると、半年から1年ほどと記載しているところが多い。我が家は、帰化申請後に子供が生まれたので途中で訂正を行っており、その関係か1年以上掛かって許可が降りた。

なお、帰化許可が降りたとして、いつ日本人になるのかご存知だろうか?

これは、官公庁の手続きをやったことある人であれば想像がつくだろう。有効日は、官報に告示された日(官公庁が外部に意思表示をした日)である。そのため、とある朝、官報に載って公示された瞬間日本人になるわけだ。おもしろい。

告示されると法務省からも電話が来て、今後の具体的な手続きについて説明される。大きな手続きはたったの3つである。

1.中国大使館において国籍喪失手続き

前回紹介した手続きで、国籍証明書を発行している。この証明書、国籍を抜ける旨を前提としいるのだ。理由は考えてみればかんたんである。単に国籍証明であれば、パスポートで代用できるからだ。

中国人パートナー(中国嫁&中国旦那)に日本人になってもらう。そんな法制度をご存知だろうか?日本国への帰化と呼ばれる特殊な手続きである。生まれつき日本国籍を持っているわれわれと異なり、外国人が新たに国籍を取得するのはかなりメンドウ。そんな体験談(前半)をご紹介。

今回の手続きは、この国籍証明書に日本で処理が終わった旨を記載した書面を中国大使館に引き渡すだけである。手続きで使う国籍証明書がこちら。

xx持中国护照,于xxxx年xx月xx号提出退出中国国际的要求。根据<<中华人民共和国国籍法>>第九条规定:”定居外国的中国公民,自愿加入或取得外国国际的,即自动丧失中国国籍。”当xx取得外国国籍时,即自动丧失中国国籍。

中国大使館が発行する国籍証明書には、あらかじめ中華人民共和国国籍法9条に基づいて、自国民が自らの意思で外国籍を取得した場合、自動で中国籍を喪失する旨の宣言がされており、これに法務省が確認をしたようなものとなる。

この手続きを行うと同時に中国パスポートのキャンセル(失効処理)が行われる。国籍喪失しているので、当然のことだが、これにより一時的に出国ができなくなる。

なお、中国国内法的には、戸籍への反映が残る。これは大使館から国内の關係部署に手続きが行われるので、申請人が個別でやる必要はない。

2.在留カードの返納(14日以内)

前述のとおり告示の日に日本人になっている。在日外国人向けに発行している在留カードは、その役目を終わっているので、返納が必要となる。

(在留カードの返納)

第一九条の一五 在留カードの交付を受けた中長期在留者は、その所持する在留カードが前条第一号、第二号又は第四号に該当して効力を失つたときは、その事由が生じた日から十四日以内に、法務大臣に対し、当該在留カードを返納しなければならない。

出入国管理及び難民認定法

事由が生じた日(=告示の日)から14日以内に返却が終わる必要がある。ぼーっとしていると罰金刑(行政罰の過料と異なり前科扱いになる)になる。

第七十一条の三 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
(中略)
三 第十九条の十第一項、第十九条の十五(第四項を除く。)又は第十九条の十六の規定に違反した者

帰化してそうそうに前科付きは御免こうむりたいところだ。

3.帰化届の申請(1ヶ月以内)

1(中国大使館において国籍喪失手続き)と2(在留カード返却)は、いずれも国家機関への申請になる。それとは別に戸籍を管理する地方自治体向けにも申請が必要となる。

国籍法上は日本人扱いでも、実務で必要な戸籍上が外国人のままになっているのでその修正が必要と言うわけだ。中国同様に法務省から手続き通知してくれればいいのにと思う…。

この申請は根拠法がまた異なり、戸籍法に基づく。こちらは、一ヶ月以内に申請が必要となる。

第一〇二条 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第三条第一項又は第十七条第一項若しくは第二項の規定によつて国籍を取得した場合の国籍取得の届出は、国籍を取得した者が、その取得の日から一箇月以内(その者がその日に国外に在るときは、三箇月以内)に、これをしなければならない。

戸籍法

102条では国籍取得時の規定が書かれており、102条の2で帰化申請に準用されている。

第一〇二条の二 帰化の届出は、帰化した者が、告示の日から一箇月以内に、これをしなければならない。この場合における届書の記載事項については、前条第二項の規定を準用する。

その後の手続で必ず必要となるのが、帰化前と帰化後を結びつける書面をここで作るわけだ。

なお、帰化の届け出が終わると帰化の旨が記載される。届け出後の”全部事項証明書”を取得すると【従前の記録】(この記載方法自体は、地方自治体ごとに異なる可能性あり)として旧姓(中国語名)が記載されている。転籍をしていない原籍のままであれば、身分事項の変更に帰化が追記されているのがわかる。

余談だが、帰化事項は転籍をすると転籍先には転載されない。記載事項に入っていないためである。ただし、原籍には、除籍の形で残っている。ネットでたまに見かける転籍で帰化の痕跡を消去というのはでたらめである。

もっとも、帰化事項が消えたとしても、日本人の戸籍には父・母の記載がある。一緒に帰化しなければ、中国語名が載っているので一目瞭然なのだが。

帰国できない!

日本にずっと住み続けて、二度と海外へ出ないのであれば、手続きは終わりである。

ただ、国際結婚しているとそうはいかないだろう。前述の国籍喪失の手続きで、パスポートを失っている。このままでは帰国(日本からの出国)ができないのだ。

そこで、パスポートを日本人として新規取得することになるのだが、これがまたメンドウなのだ。理由は、パスポートの申請手続きに必要な書類である。

1.一般旅券発給申請書:1通
2.戸籍抄本または戸籍謄本:1通
3.パスポート用の写真:1枚
4.本人確認のための書類:1点または2点

初めて申請する方

1の申請書と3の写真は現地調達できる。2の戸籍謄本は、前述の帰化届け出が終わっていれば問題ない。厄介なのが、4の本人確認のための書類なのだ。

各都道府県にあるパスポートセンターで求められる書類は以下の通り。

運転免許証・写真付の個人番号カード(写真付のマイナンバーカード)・写真付の住基カード・船員手帳・宅地建物取引士証・身体障害者手帳等

マイナンバーカードは、住民票の書き換えが終わっていればできる。ただ、この受取にまた本人確認のための書類が必要となる。堂々巡りになるのである。

もっとも、かんたんなのが運転免許証である。失効していなければ、最寄りの警察署に戸籍謄本(住民票に帰化前の姓名が記載されていないため)を持っていけば、裏書きしてもらえるのでこれで有効となる。

もしも、運転免許証がないと…考えるだけで憂鬱になりそうだ。

最後の山場:民間機関へ各種手続き

ここからは、結婚したあとの名字変更と同じで、民間機関への手続きをしなくてはいけない。ざっと思いつくものは、以下の通り。

  • 各種名義(住宅・車両など)
  • 生命保険
  • 車両保険
  • 健康保険証
  • 金融機関
  • クレジットカード

国籍取得できたら、もう日本では生活しないよ!という場合であれば不要である。駐在・現地採用であれ、移民であれ一定間隔で戻ってくる予定があるなら日本の各種名義も整理しておくほうが無難だ。

行政書士は必要なのか?

今回紹介した帰化申請の手続きは、私と家内ですべてやっている。

ただ、帰化申請でGoogleなりYahooなりしてみると、おそらくトップで出てくるのは行政書士と呼ばれる業者のサイトが引っかかるだろう。行政書士って何?という方は少ないと思うが、国家認定の書類代行業である。

行政書士(ぎょうせいしょし)とは、行政書士法に基づく国家資格で、官公庁に提出する書類および権利義務・事実証明に関する書類の作成、提出手続、行政書士が作成した官公署提出書類に関する行政不服申立て手続(特定行政書士(後述)の付記がある者に限る)等の代理、作成に伴う相談などに応ずる専門職である。

行政書士 – Wikipedia

私もこの行政書士の試験に合格している。行政書士会に登録すると、行政書士を名乗れる。脱線するが、手元にある合格書を見てみたら、その時の総務大臣は麻生太郎先生だったようだ。

なぜこういうことを言うのか?であるが、一般の行政上の手続きと異なり、帰化申請は個人の身分にかかる専属的な権利なのだ。そのため、代行できることは限られている。

たとえば、証明書の発行は結局本人がやることになる。本人または保証人が会社員であれば、社内の依頼はやはり本人または保証人がやることになる。履歴書やら親族一覧も本人のほうがよくわかっているだろう。その他、細々とした調査なども自分でやるしかない。

さらに言えば、個別精査される帰化申請は、訴訟と異なり申請側の裁量なんてほとんどない。つまり、素人が申請しようと、専門業者がやろうと差がつくことはない。

全体の労力はほとんど軽減されないのもかかわらず、15万円(+実費)がかかるのだ。

私のように手取りが50万ほどしかなければ、月の労働時間(170時間)で割ると時給単価3,000円である。有給休暇を消化して自分で処理(前編合わせて20時間費やしたかどうか)したほうがよほど安上がりである。

結論を言えば、手続きが大嫌い!と言う方や、社長業など時間単価が飛び抜けて高い方を除けば自分でやってみてはいかがだろうか?となる。

パートナーの帰化をお考えの方、参考になれば幸いである。