Google Mapsが使えない国
地図アプリでトップシェアは、Google Maps(グーグルマップ)で約50%である。世界中で的確な情報を提供してくれる-そんなサービスが使えない国がある。それが、中国。その中国には半官製の百度地図があるので紹介。
地図アプリに必要なこと
地図アプリに必要な機能は、”情報の検索”と”正確さ”だ。たとえば、お店の検索をした時に、そのお店がヒットすること、そしてその位置が正しいことである。これに、営業時間やメニューなどが表示されるともっと便利かもしれないが、最低限この2つが充足されていればいいはずだ。
中国でGoogle Mapsを使おうとした時に、この両方が問題になる。
Google Mapsが中国で使えない2つの理由
1.Googleドメインがブロック
問題の1つ目「情報の検索」手段がブロックされていることだ。Google Maps自体が中国では規制されているのだ。これはGoogleドメインが規制されているので、当然といえば当然だ。
このためGoogle Playが使えないのと同じ理由で、Google Mapsも使えないのだ。おおよそGoogleなんちゃらと名前がつくサービスやアプリ、サイトは、中国で使えないと思ったほうがいい。つまり、出張などで中国へ行くとする。現地の空港につくと、そもそも自分の居場所を検索できないということだ。
これは、香港・澳門(マカオ)など特別行政区を除く中国全土で同じだ。駐在員が多い上海・北京、オフショが盛んな大連なども例外ではなく、規制されている。
Google中国の機能一部が利用可能に
2018年1月に中国当局がGoogleへの規制を突如一部解除したようだ。Google中国ドメイン(google.cn)のうち、地図に関係する部分だけである。
据小黑胖在国内的小伙伴透露,自从昨天上午开始,他们突然发现,在国内可以不借助任何工具,流畅顺滑地打开谷歌地图了!只需要访问以下两个网址就能够使用
链接1:http://www.google.cn/maps/
链接2:http://ditu.google.cn
而对于手机端的用户,虽然暂时还无法通过Google Map APP来直接使用,但可以使用手机浏览器访问网站哦
上記の記事で述べられているとおり、Google MapのアプリはGoogleのドメイン(google.com)を参照するため従前通り使えない。cnの中国ドメインのみ使えるという状態だ。また、検索などの機能は一切使えない。
もっとも、接続問題だけならば、VPNを使うことで回避できる。ただし、接続できないという以外に、解決が難しい問題がもう1つあるだ。
2.不正確な位置情報
一番頭がいたいのは、2つ目の「正確さ」だ。
以下のスクリーンショットは、VPN経由でGoogle Mapsを見た場合の表示である。パット見正しく表示されており、使える!と思うかもしれない。しかし、このスクリーンショットを撮った場所は上海市内の地下鉄1号線、黃陂南路駅の真上にあるスターバックスにいた。つまり、Google Maps上では”少し位置がずれる”のだ。感覚値で申し訳ないが、おおよそ10m~20m前後である。
上のイメージであれば、地下鉄駅付近にいるのに交差点近くに表示されてしまう。これは上海に限らず、北京や大連でも同じことが起きる。私が中国で仕事をしていて人づてで聞いたのだが(噂の範囲ではあるが)、中国政府が提供する位置データには意図的に不正確なものが混入している”らしい”。
中国の地図は軍事機密にあたるため、フリーでは提供されていない。おまけに、測量行為も政府の許可が必要で、許可をとっても逮捕されるケースすらある。
サービスは使えない、なんとか接続しても正確さに欠ける。これは困りものである。
百度地図の使い方
そこで出てくるのが、中国でもっとも人気のある地図アプリ、百度地図(Baidu Map)である。
インストールは、iPhoneであればApp Storeから入手できる。Androidの場合、以前はGoogle Playから入手できたのだが、公開を止めたようである。
※2017年6月現在、再開されており最新版がGoogle Playにアップロードされている。
そのほかに、百度地図の公式サイトでダウンロードできる。この場合、野良APK(Google Playを経由しない身元不明のアプリのこと)扱いになるのでスマホの設定によってはインストールができない。トラブル回避のためにも、Google Play経由をおすすめする。なお、Google Playを中国で使う場合は、以下の記事を参考にしてほしい。
公式サイト自体がモバイル向けに最適化されているので、ブラウザから使うのがもっとも便利だろう。ブラウザを立ち上げて、”map.baidu.com”を入力するだけだ。
トップでアプリを入れるとネットワークトラフィックが90%減ると甘い声を掛けてくるが、無視して”访问网页版”をクリック。百度地図に限らず、中国サービスは専用アプリを入れるのを執拗に迫ってくる。アプリを入れない理由としては、使わないときに背後で勝手にデータダウンロードや変なトラフィックが増えるためだ。そのため、トラフィックが90%も減ることはない(断言)。
行きたい場所をダイレクト検索、周辺検索(iPhoneのPodcastsのようなもの)がある。場所がわかっているのであれば、ダイレクト検索でいい。入力項目は幅広く住所はもちろん、店舗名、ビル名でも構わない。
試しに最近好調な上海のAPITAを検索してみると…
こんな感じで住所と距離が出てくる。ここへ行く(到这去)をクリックすると、ルート検索を表示してくれる。
移動手段は、車・公共交通機関・歩く、自転車から選べる。公共交通機関では、Google Maps同様にダイヤに合わせた検索をしてくれるので、ほぼその通りに目的地に着くことができる。
百度地図アプリ版もあるが…
補足しておくと、百度地図にはネイティブアプリ版もある。AndroidとiOSでそれぞれ公開されている。中国に住む中国人(Googleを使わない人たち)向けには百度アプリストアでも手に入る。
正直、地図アプリを入れたほうが操作感は高い。ヌルヌル動くのだ。
しかし、繰り返しになるが百度地図のアプリを入れると、電池の減りが”異常”に早くなる。電池の利用状況で確認してみると、バックグラウンドでいろいろ通信をやっているのが原因なのだ。ファイルアプリなどで、Androidのストレージに作られる”baidu map”フォルダを見てみると、広告画像がうじゃうじゃ。広告までキャッシングしなくてもいいのにね。
この理由から、短期で中国に渡航する場合は、ブラウザ版で十分。長期出張や駐在の場合にアプリ版を入れればいいだろう。
中国で迷子になる人の一助になれば幸いだ。
コメント
[…] 地図アプリ百度地図の使い方-Google Mapsは中国で使えない-地図アプリでトップシェアは、Google Maps(グーグルマップ)で約50%である。世界中で的確な情報を提供してくれるそんなサービスが […]