Google(グーグル)が中国で使えない!の対処法

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Googleは検索だけじゃない

Google(グーグル)が中国で使えない!の対処法

中国に来ると、日本で何気なく使っているサービスが使えない。特に困るのが、検索の定番”Google(グーグル)”とその関連サービスがすべて規制されていることだ。そこで、中国で使えない同社のサービスと対処法について解説する。

Google対中国当局

Google(グーグル)が中国で使えない!の対処法

Googleが中国に規制される経緯は、ニュースを見るのが詳しい。

かんたんにいえば、もともとGoogle中国が大陸で検索サービスを提供していたが、当局の検閲やハッキング行為に業を煮やして2010年に検索サービスを停止。サーバーを香港に移管したら、中国当局が本土からのアクセスを規制されて締め出しを受けている。

この規制処置については、Googleがたびたび批判するコメントを出している。2012年に香港Googleがたまに検索できたころ、中国当局の検閲処置にも噛み付いている。

米グーグルが香港経由で行っている中国語の検索サービスで、政治問題に関わるキーワードを含む中国本土からのアクセスに対し、画面上で、「切断の可能性があるが、この切断にグーグルは関与していない」と、暗に中国の検閲を批判するメッセージを表示し始めた。

グーグル、中国の検閲強化に対抗措置 「この切断にグーグルは関与していない」と暗に批判 – MSN産経ニュース

最近になってGoogleは中国への復帰を狙っていると報じられている。中国政府の一連の処置に批判的だったGoogle共同創業者のセルゲイ・ブリン氏が前線から退いたことで、お互いに関係の見直しを図っているのだろう。

2018年には同社が、中国の検閲やプライバシー検査に対応したDragonfly(ドラゴンフライ)と呼ばれる検索エンジンを開発していると報じられている。

検閲版検索エンジンを開発する二枚舌のGoogle
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企業理念はかなぐり捨てでも、中国への復帰をしようとする執念が見て取れる。しかし、こうした同社の180度転換とも取れる変心を、社内外から批判が殺到しており継続開発されるか怪しいところだ。

上院の通商科学運輸委員会に宛てた書簡で、元Googleの研究員Jack Poulsonが、8月の終わりに同社を辞めた理由を詳しく述べている。今週初めに送られたその小文は、Project Dragonfly(蜻蛉プロジェクト)に対する、増大する懸念を詳述している。それは、中国市場に有意に参入しようとするGoogleの試みだ。

Googleを辞めた研究員がProject Dragonflyの人権違反懸念で上院に書簡を送った

使えないサービス一覧と対処方法

中国大陸で、Google.comが規制されると何ができないのか。よく使うサービスを例に出しながら、中国での回避方法を説明する。

1.Googleウェブ検索

Google(グーグル)が中国で使えない!の対処法-Google検索

Googleの顔である検索サービス。キーワード検索に加えて、画像検索、動画検索、ファイル検索、ニュース検索などすべてが使えない。google.com自体も開けないためお手上げだ。

そのため、Google AdWordsで広告を出すことはもちろん、ツールを使って類似語句の検索頻度をみることもできない。さらに、Google Analyticsも使えないので、Webマーケティング担当者は普段使っているツールが軒並み使えない。

2.Gmail

Google(グーグル)が中国で使えない!の対処法-Gmail

ウェブ検索と並んで重要なサービスであるGmailも利用できない。ただ、問題はメールが見られないことではない。Gmailに届いたメールを別のメールボックスに転送したり、ほかのサービスで代用ができるためだ。

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厄介なのは、Gmail上に保存されている連絡先情報が取得できないことだ。2G/3G携帯(いわゆるガラゲー)は、連絡先情報を携帯端末ローカルに保持していた。そのため、携帯電話を変えるたびに移し替える必要があった。Androidになって、Gmailがこれらの受け皿となった。連絡先をGmailに保存しておけば、どの端末からも同じ情報が取れる。

ところが、中国にいるとこの機能が使えなくなる。対策をしないまま中国に入国すると連絡先が一切表示できない、または更新ができないトラブルに見舞われる。

3.Googleマップ

Google(グーグル)が中国で使えない!の対処法-Googleマップ

検索、メールと並んで意義のあるサービスは地図情報だ。

google.comが規制されているため、サブドメインのマップもまったく利用ができない。2018年になって同社の中国ドメイン(google.cn)の一部規制が解除された。これは同社が中国市場に再度参入したこと、現地でパートナーを探しあてたためである。

しかし、中国の地図情報は、意図的に不正確なものが混入している。具体的には位置がずれて表示されるのだ。このため、ある地点からある地点へ行くのに最適な手段を検索できない。

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Google Mapsが使えない国 地図アプリでトップシェアは、Google Maps(グーグルマップ)で約50%である。世界中で的確な情報を提供してくれる-そんなサービスが使えない国がある。それが、中国。その中国には半官製の百度地図がある...

この不正確な地図データの理由は諸説あるが、中国が軍事機密を守るために地図情報に意図的にズレがでるように調整されているのが信ぴょう性が高そうだ。

いずれにしても検索ができない、不正確な位置情報では使えるとは言い難い。

4.YouTube

同じGoogleが提供する動画再生サービスのYouTubeも中国では使えない。

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もっとも、YouTubeのような動画サービスは、中国にも似たようなサイトが多数ある。さらに、これらサイトでは以前ほどではないが、相変わらず映画の本編など著作権を無視したサービスが使える。

単に映画や音楽などを見たい・聞きたいであれば、あまり困らないかもしれない。

5.Google+

最近ではFacebookやTwitterなどに押されて、やや日陰気味のブログサービスをGoogleも提供している。このサービスは、同じGoogleのドメインを使っているため使えない。

6.Google Drive(ドライブ)

中国ではデータのやり取りは、当局の監視下に置かれる。また、2017年春に個人を含んだ中国において収集したデータを勝手に国外に持ち出すのを禁止する規定が施行されている。

企業データの国外持ち出しが許可制に
中国のネット当局が、国内に展開する外資企業が保有する企業データの移動制限を検討している。まだ意見募集中としているが、民族系含む企業のデータ持ち出しに一石を投じるかもしれない。

Google ドライブのドメインはgoogle.com(https://www.google.com/intl/[言語]/drive/)にあるため、どのみち使えなかったのだが、この規定により物理的にも論理的(法律的)にもアウトとなった。

類似のサービスにDropboxがあるが、こちらも同様に使えない。

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中国でGoogleサービスを使う方法

回避方法でもっともいいのは、中国に入国しないことだ。しかし、仕事で駐在や出張、留学などなんらかの理由で中国に滞在する人も多いはずだ。その場合に有効な方法を3つあげる。

1.規制されていない他サービスを利用

Google(グーグル)が中国で使えない!の対処法-1.規制されていない他サービスを利用

規制されていなサービスも多数ある。

たとえば、日本語のウェブ検索でいえば、楽天ウェブ検索やgoo検索などだ。メールや地図も同様で、OCNやBiglobeなど無料のメールサービスはあまたある。地図は、マイクロソフト謹製のBing Mapsであれば正常に利用できる。

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ただし、この方法は2点注意が必要

1点目は検索サービスやメール本文にあるリンクが、中国当局から規制されている場合は、サムネイルなどは見られても本体を閲覧することはできないということ。

たとえば、楽天ウェブ検索やgoo検索でFacebookを検索すると、Facebookへのリンクが表示される。しかし、クリックしても表示されないといった具合だ。

2017年9月以前は、日本で最も使われているポータルサイトのYahoo! Japanが使えたのだが、現在は規制がされており使えない。詳細は別記事にまとめているのでこちらをみて欲しい。

中国でまだ使える検索サイト7つ!-Yahoo! JAPANの検索規制のあと
2017年9月中旬より中国当局がYahoo! JAPANの検索機能を規制している。同サイトのニュースや知恵袋などほかの機能は表示されるが、検索機能だけが使えない。そこで、中国でまだ使える日本語の検索サイトを7つご紹介。

もう1点は、検索キーワードが中国の検閲対象となっている語句だと、接続自体が切断されるということだ。詳細は以下の記事を参考にしてほしい。

金盾とはなにか?-中国とネット規制
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2.中国製サービスを利用

中国にいるのであれば、郷に入れば郷に従えで、中国標準検索エンジンである「百度(Baidu)」を使う方法だ。

百度自体はとても便利だ。Google同様にキーワード検索、画像検索、ファイル検索はもちろん、音楽のmp3検索や映画の検索などもできる。著作権法上問題が大きいものは検索できないが、それでも日本などに比べるとまだまだ規制はゆるい。

この方法は中国語や英語サイトであれば比較的問題にならない。ただ、日本語の場合は難しい。百度の日本語識別能力が非常に低いためである。以前に百度は日本法人を設立し、検索市場に殴りこみをかけたが、技術力の低さから惨敗し撤退している。

中国メディア、百度の撤退・敗北を報道
中国検索市場の王者「百度」の末路 中国の検索市場で6割以上を占める百度。その百度が日本市場に入り込んだのは2007年。今年に入って活動停止していたが、中国のメディアが敗北と報道している。その原因は?

3.VPNを利用

Google(グーグル)が中国で使えない!の対処法-3.VPNを使う

中国にいる間、もっとも頻度が高く、かんたんな方法はVPNを利用することだ。VPN自体のしくみは別のページでみてもらうことにして、メリットをいくつか列挙すると…

  • VPN接続時は、中国外にいるのと同じで制限がない
  • PCやAndroid, iPhoneなど端末を選ばず利用できる
  • 通信が暗号化されるので、中国当局からの盗み見を予防できる

ここ数ヶ月、中国当局の監視が強まっており、自己防衛という意味からもオススメできる。VPNについては以下の記事を参考にしてほしい。

中国おすすめVPN
中国ではGoogle検索やGmail、FacebookやLINE(ライン)、Twitterなど海外アプリやサービスがほとんど使えない。2017年には日本人がよく使うYahoo! Japanも一部規制された。そんな規制を突破する切り札-おすすめVPN-をご紹介。

VPNの中には無料で使えるものもある。残念ながら中国当局の目が厳しいためにすぐにブロックされてしまうが、参考にはなる。

無料VPNは中国で使えるか?15VPNをチェック
無料のVPNは使えるのか?徹底検証 中国では、Google, Facebook, Twitterなどほとんどの海外サービスが使えない。その回避策がVPNである。世界中に無料のVPNサービスがたくさんあるが、どれだけ使えるのかチェックしてみた...

また、一部のブラウザに限るが、Google Chrome(グーグル クローム)やFireFoxであればプラグイン(拡張プログラム)でVPN(VPNプロキシ)を使う機能もある。この場合は、アプリベースでは使うことができないが、ブラウザベースであれば中国国外にアクセスできる。

プラグインで無料VPN接続(Google ChromeとFirefox)
ブラウザだけ国外に 無料VPNはあまたあるが、専用ソフトを使うか否か問わずPC全体を外部ネットに接続させるものが多い。今回、とある有名なプロバイダから、ブラウザのみをVPN接続するプラグインがリリースされたのでご紹介。

中国でGoogleが使えないよ!と困っているユーザの解決になれば幸いだ。

コメント

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  6. 鳳梨de中國 より:

    漂客さん

    コメントありがとうございます。
    Yahooの件ありがとうございます。トップとニュースを見て使えると思っていたのですが,検索部分のサブドメインだけブロックされているようです。
    次に何が起きるかわからないのを改めて自覚させられました(苦笑)
    VPNについては改善されると思いますが,検索エンジンがブロックされると頭が痛いですね…。

  7. 漂客 より:

    現在VyprVPNでも繋がらず、Yahoo!Japanの検索も表示されず、といった状態です。
    他の検索サイトは使えるのか試してみましたが、何故かYahoo!(アメリカ)の検索は使えました。
    後はBingや楽天ウェブ検索等は、検索結果が表示されていました。
    (ただ、検索されたリンク先のサイトで、Javascript形式のボタンで入力や次のアクションを起こすようなものは、その先が表示されませんでした。一旦VPNで繋いで、そのページを完全にD/Lしないと、ページに記載されているJavascriptが上手く働かない可能性が高いと思われます)

  8. 鳳梨de中國 より:

    菱田さん

    コメントありがとうございます。
    当サイトでオススメしているvpn自体は生きていますよ。
    ちなみに,使えなくなったvpnのお名前ってなんでしょう?

  9. 菱田浩司 より:

    7月9日から、中国からのvpn接続が、全てできなくなりました!!!
    いい、方法はないですか?

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