オンラインゲーム販売の最大手SteamがGoogleと心中を決めた。同社は新規アカウント作成およびログインにおいてGoogleが提供するreCAPTCHAを導入、中国ユーザが阿鼻叫喚となっている。
Steamってなに?
Steamは、信長の野望シリーズや三國志シリーズで有名なKOEI(現:コーエーテクモ)も使っているプラットフォーム。オンラインでゲームやコンテンツが買えるサイトとサービスを手がけている。
以前はインターネットの速度が早くなかったことに加えて従量制課金だった。当時、PCゲームのように大容量のデータを使うコンテンツは、CDを複数枚またはDVDを販売するのが一般的だった。しかし、こういった物理的な媒体には常に違法コピーや中古販売の問題がつきまとっており、訴訟沙汰も絶えなかった。
その後、Windowsが進化して扱いやすくなりPCゲームを購入するユーザ層が増えたこと、さらにネット速度が劇的に向上、Steamのようなオンラインゲーム販売サイトがポコポコと立ち上がった。特に同社は、ゲームの販売だけではなく違法コピーとライセンス監視のためのプラットフォームを提供したことで飛躍していく。
ゲームメーカーから見ればDVDも物理媒体の製造や在庫コストを考えればSteamへの手数料のほうが安く、メリットが大きかったわけだ。
世界最大マーケットを切り捨て
Steamに限らず、商売というのは単価×総販売数である。
単価が高い(購買力がある)のが欧米や日本であることは容易に想像がつく。販売数は?となると人口が大きいところがビジネスになるのも想像通りである。人口で世界第二位の中国は、違法コピーの問題があるものの、ゲームメーカにとっては北米を抜いて最大のマーケットになっている。
そんな中国市場を今回バサッとSteamは切り捨てたのである。理由は、同社が導入した認証機能にある。よくサイトを巡回するとこんな画面に出くわしたことないだろうか?
”私はロボットではありません”というアレである。おそらくアカウント乗っ取りやボット(悪意のあるプログラム)によるハッキングを防止するために同社は導入したのだろう。
この認証機能は、reCAPTCHAと呼ばれるシステムで現在Googleのサーバで稼働している。しかし、同社のドメインは中国で規制されている。
結果、中国で同社のシステムにログインができなくなっているわけだ。
新規で購入するユーザはもちろん、既存でゲームを買っているユーザもログインできないため、資産としては持っているのに使えないという状態に陥っている。そのため、中国ネットでは非難轟々となる。
Steamのシステム設計・運用するエンジニア部門が中国のネット規制を知らなかったのか、それとも幹部が出した変更に淡々と従ったためかはわからない。
結果として世界最大のマーケットをバサッと切り捨てる同社の心意気に乾杯したい。
というか、なぜ誰も止めなかったのだろうか…?
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