コロナウイルスで国境をまたいだ移動が難しくなっているが、そんな中で海外在住日本人の間で大騒ぎになったニュースがある。それは厚生労働省が出している『水際対策強化に係る新たな措置』により日本人が日本で入国拒否となり、出発国に戻ったというもの。
各国際空港では入国にあたり2つ機関がかかわる。1つは入国拒否で出てくる出入国在留管理庁(旧入国管理局で法務省管轄)ともう1つが検疫所(厚生労働省管轄)である。
日本人は入国拒否できるのか?
では、出入国在留管理庁は自国民の入国拒否できるのか?であるが、できない。入国可否にかかる法令はすべて主語が外国人なので、自国民について規定がない。日本人は出入国在留管理庁の入国拒否判断の対象外となる。
そのため『水際対策に係る新たな措置について』でも陰性証明が出せない場合、『入国を拒否』とは書いておらず『上陸を拒否』と記載されている。
上陸拒否されたらどうなるのか?
今日現在(2021年4月)においては、『出発国において搭乗前に検査証明書を所持していない場合には、航空機への搭乗を拒否されます』。つまり、移動前に検査証明の有無をチェックしてトラブルを防ぐということ。そして『検査証明書を提出できない方は、検疫法に基づき、日本への上陸が認められません』とある。つまり、検疫法に基づいて検疫所が上陸拒否をした場合だ。
たとえば航空会社がもしも見過ごして乗せてしまい、かつ日本に到着したものの上述のように上陸できない場合、一体どうなるのだろう?
そこで厚生労働省の窓口に聞いてみた。
水際対策強化に関する問い合わせ窓口
厚生労働省新型コロナウイルス感染症相談窓口(検疫の強化)
海外から:+81-3-3595-2176(日本語、英語、中国語、韓国語に対応)(受付時間:9:00-21:00)
上述のようなたとえ話を聞いたところ、担当者からは驚くような回答が。
担当者『適切な答えを持ち合わせていない』と。
一瞬耳を疑うようだが、ほぼ原文で返ってきた。えええ…。では、どこに問い合わせたらいいのか?に対して担当者は『各入国施設にある検疫所が管轄』とのこと。
上陸の可否は検疫所
そこで再度電話をかけ直して、検疫所で一番大きな成田空港検疫所に問い合わせてみた。そうすると、開口一番言われたのは以下2点。
- 厚生労働省が指定するフォーマットで提出してもらうこと
- 必須項目については受け取った人(入国する人)もダブルチェックすること
ここで敢えて上述の質問を再度ぶつけると、チェックをしっかりすることを再度お願いされる。食い下がって万が一起きたら?と聞いてみると…
上陸を拒否した場合、原則送還対象となる。ただし、他に居住地のない(送還先がない)日本人の場合は”送還困難者”扱いになる。この場合、航空会社が指定する待機場所(という名のホテル)にて14日間隔離されるとのこと。
おそらく上陸は建前上拒否、しかし戻る先がないので上陸状態を宙ぶらりんにさせて機内待機同様の扱いでホテルにて隔離、その後検査を経て入国になるのではないだろうか。
先のニュースをよく見ると『これまでは、書類や検査方法などに不備がある場合、検疫所が管理する宿泊施設で待機してもらうなどしていましたが、19日から原則として入国を拒否しています。』と書かれている。この入国は日本人の場合は不適切で上陸を拒否が正しく、また”原則”なので例外としてどうしようもない場合は、やはり日本に上陸保留されたまま入国みたいな形になるのだと思われる。
つまるところ、入国拒否や上陸拒否はするが例外処置として従前の待機場所で隔離する運用自体は続いているというわけである。
と、言うわけで国境難民にはならないようだ。ひとまずは安心?
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