テナントの9割近くが空っぽの廃墟

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開いているテナントを見つけるのが至難の業

先日、仕事の関係で蘇州へ行ってきた。ここらへんは昔から上海に近い地理を活かして、外資筆頭に一大生産拠点として栄えてきた。日本人も多い地域で、観光スポットでもある。そんな蘇州のとある工業地区の付近にとても立派な複合施設があったので立ち寄ってみたところ、それは巨大な廃墟だった…。

大きな複合施設だが、様子がおかしい

到着したのは、金曜日の午後。この複合施設、1階から5階までがショッピングモール形式になっていて、それより上がオフィスと居住地区が隣接している。1テナントあたりだいたい30~40平米で壁を取り払うことで大きな店舗も開店が可能になっている。平日の午後なので人は多くないだろうと思って近づいてみると様子がヘン。人の気配がしないのだ。

人がいない廃墟モール

写真の真ん中には2機のエレベータが設置してあり、逆光で見えづらが人がいるのがわかるだろうか?この人を目安に見てもらうと理解しやすいが、結構な広さだ。右側がショッピングモール形式になっていて、左側には銀行が入っており、金融センターに直結という構造だったのだろう。しかし、ここで出会ったのは10人に満たない。いくら平日だといってもひどすぎないか?

空っぽだらけのテナント

1階にあるテナントスペースを数えるとだいたい40くらいだろうか。5階建てになっているので、全部で200テナントスペースあることになる。そのうち開いていたのは、飲食店x2、クリーニングx1、コンビニx1だけだった。時間が開いていたのでコーヒーショップらしきお店に入って聞いてみると、上の階に一応2~3店舗開いているらしい。しかし、そうだとしても全部で10店舗くらいしかないので90%以上が空っぽということになる。構造としては2階3階から金融センターに行けるようになっていたようだが、現在は固く門が閉ざされている。

テナントがない廃墟モール

乱造する中国の建築物にあってこれだけきれいなのでさほど時間が経っていないことが想像できる。

3年間テナント料がタダ!

コーヒーショップのオーナーに聞いてみると、ここに来て1年半らしい。建物自体も3年経っていないらしい。あまりにも人がいないので経営が成り立つのか聞いてみると、そこそこらしい。これで全部ペイできるのか?と思ったら、テナント料がタダだという。オーナーが親戚か何かかと聞いたら、違うらしい。どうやらこの複合施設、隣接する銀行が作っていて、テナントが集まらないので3年契約でタダで集めているとのこと。

真実なのかわからない。だが、もしも、彼の発言が本当だったら少し怖い。銀行が運用益と将来の値上がり利益のために、全国各地に企業をけしかけてビルを乱造。でも、ほとんどは値上がりどころかランニングコストも回収できていない。すなわち、不良債権化しているのだとしたら何が起きるのだろうか…と。

中国各地に乱立する廃墟モール、廃墟都市

このようなモールは蘇州に限ったことではなく、中国各地で見られる。有名なところでは、天津市が巨額の財政投資をしてつくった開発区やオルドスの廃墟都市だろう。

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これだけの巨額投資をしてつくったにも関わらず、回収できる見込みはない。一方、これらを作るのに使われたと思われる「理財」商品は相変わらず年5%を超える配当をうたって資金集めをしている。どこかで炸裂しないといいのだが…。