ネット規制をめぐり米中激突
アメリカ政府が中国当局の計画する新たなネット規制について、WTOにおいて話し合われるべきだコメントを発表した。モノに加えて、ネットやサービスが新たな米中貿易摩擦の火種となりそうである。
今回の発表は、中国当局が去年から策定しているネット規制をアメリカ政府が問題視していること、そしてモノの貿易からネット・サービスへ焦点が移っているということだろう。当サイトでも指摘してきたが、これら規制が国境をまたぐサービスの妨げになっており、非関税障壁に該当しているわけだ。
The United States told the World Trade Organization on Friday that Chinese internet access rules coming into force next month appeared to create significant new restrictions for cross-border service suppliers and should be discussed at the WTO.
United States tells WTO of concerns over China's new web access rules
提起の元ネタは、去年(2017年)1月に当局が発表したVPNを含む越境サービスについて、中国当局の許可が必要となったことである。この規制について、当時の記事で紹介しているので、こちらを参考にしてほしい。
当初は言論統制の一環で、中国の一般市民でもアクセスできてしまうグレーゾーンのVPNを排除することだった。その後、外資のサービスを含めてまるっと規制対象を広げたところから反発が起きている。
In January 2017, China published a circular on “Cleaning up and Regulating the Internet Access Service Market”, which seemed to put new restrictions on virtual private networks (VPNs) and leased lines, it said.
当局の規制が中国から海外へのネット回避にかぎらず、海外資本の越境サービスが一律排除される可能性が含まれる。合法にやるにしても、当局の許可は外資企業は取得が困難なため、事実上の締め出しになるのが問題というわけだ。
外資排除の原点ICP問題
中国には規定上できることでも、実際にはできないことがいくつかある。たとえば、外資排除を目的としたICP問題である。
ICP問題の影響は中国国内にとどまる。
しかし、当局がすすめるVPNの全面禁止や海外アクセスの一括管理が始まれば、影響は国内にとどまらない。トランプ政権は当初から貿易不均衡を正すと繰り返し述べてきたが、具体化したと言えよう。
もっとも、ネット規制をめぐる攻防は今回がはじめてではない。10年以上前から問題視をして、WTO提訴を促す国際貿易の専門家も多数いた。中国当局は今まで、これらの指摘についてWTOの免責条項を盾にして反論してきたのだ。
去年秋からは風向きが変わってきており、VPNの規制とアップルへの圧力について、アメリカの国会議員が問題視したニュースもお伝えしている。
二正面作戦を強いられる習近平政権
防衛側の中国も一枚岩かと言われると、そうでもない。直近では、習近平が画策する国家主席の任期撤廃をめぐり中国国内から非難の声がごうごうとあがっているのだ。
憲法改正案は、2期10年を限度としていた国家主席の任期を撤廃するもので、成立すれば習近平政権の長期化が可能になります。これに対して、中国版ツイッターの「ウェイボ」上に批判が書き込まれると、投稿が削除され始めました。削除される際には、運営側から「関連の法律と規則に違反している」というメッセージが届きます。ロイター通信によりますと、「我々は北朝鮮になるのか」といったコメントなども相次いで削除されたということです。
炎上を防ぐためか、Weiboなど事前チェックができる場所以外にも、QQ(その互換のTIM含む)の個人コメント欄が現在変更できなくなっている。徹底した封じ込めをするつもりのようだ。
ちなみに、任期撤廃の可能性を当サイト別記事でも指摘をしていたのを覚えているだろうか?
明文化されている権利ですら封じ込める同氏が、法改正や規約改正はお茶の子さいさいなのではないだろうか。
冗談半分で書いたのだが…、まさか本気でやるとは。さすが中国様…いや、習近平様である。
中国IT情報局はそんな親愛なる習指導者を応援します。ハイ。
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