ネット規制やVPN規制は2027年まで強化続行?

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口封じとメディア統制に全力

10月18日からはじまった政治イベントも終わり、新体制が発表された。注目ポイントは習近平体制があと10年続く可能性がでてきたことだ。終わりの見えない検閲やネット規制強化がまだまだ続きそうだ。

後継者のいない新体制が意味するもの

10月18日から24日まで開かれた十九大(中国共産党第十九回全国代表大会)に続いて、1中総会(第19期中央委員会第1回総会)も10月30日で終わった。この流れの中で2期目の習近平体制が発表されている。詳細は政治ネタなのでほかのメディアに譲るが、新体制の人事を海外メディアがかなり注目している。その理由は、今回の新体制に後継者指定がないためだ。

今回の人事では、後継者になる50歳代の若手指導者は最高指導部入りしなかった。習氏の後継者は不明確なままで、習氏は長期政権も視野に、後継候補を競わせ自らの求心力を維持する構えだ。

中国新指導部が発足=「後継」常務委入りせず-習氏2期目始動、権威強化

長期政権(法律の上限である2期で計10年)は、2期目に後継者指定をして権力移行することが多く、前国家主席の胡錦濤から習近平もこの流れだった。しかし、今回は明示的な指名がなく、確実視されている後継者もいない。

そのため、この発表でクローズアップされ始めているのが”習近平の3期続投”だ。続投すると、あと10年政権の中心に君臨する。これは悪夢としか言いようがない。同氏はインターネットを含むメディア統制を強力に推進しており、いまや中国は大きなローカルネットワーク化してしまった。そんな同氏の続投は、VPNを含む強烈なネット規制が2027年まで続くことを意味する。

習近平に立ちはだかる壁

北朝鮮と異なり世襲制を否定する中国は、憲法および党規約で3選を禁止している。知らない人もいるかもしれないが、北朝鮮の世襲制を批判している最先鋒は中国である。そのため、続投を難しいと考える識者は多い。

習近平と李克強が激しく権力闘争をしているということを主張する人々は、さまざまな憶測を創りだしては、世をにぎわしている。

その中に習近平が二期目の2022年以降も総書記 (2023年に国家主席) の座を放棄せず、2022年から2027年までもトップの座に留まる可能性があるという「三期続投説」がある。

習近平の「三期続投」はあるのか?

意外に思われるかもしれないが、中国大陸の憲法でも言論の自由は保証されている。しかし、現実ではそうではない。さらに、一国二制度を標榜する香港においても、体制に批判的な人物の拘束や議会からの排除するほど強権的な人物だ。

第三十五条 中华人民共和国公民有言论、出版、集会、结社、游行、示威的自由。

明文化されている権利ですら封じ込める同氏が、法改正や規約改正はお茶の子さいさいなのではないだろうか。

中国「外」でも暗躍中国共産党は体制維持のために、執拗なまでに言論統制を行っているが、いよいよ出版側や所持する側にも及んできた。

ちなみに、以前取り上げた禁書を扱った書店関係者だが、解放されたあとも当局の監視下おかれているようで深刻な人権侵害が続いている。

中国共産党に批判的な本を取り扱う香港の書店の関係者5人が相次いで行方不明になった問題で、中国当局に拘束されていた書店の親会社の社長が釈放されたものの、香港のメディアは、家族が社長と直接連絡が取れず、依然として当局の監視下にあるという見方を伝えています。

中国 香港の書店社長釈放も監視を継続か

規制の手綱を緩めない習政権

今年に入って実施したVPNやメディア規制を、メディアが一覧にして見やすくしている。興味がある人はみていただきたい。なかなかのボリュームに驚くはずだ。当サイトでも取り上げているビックワードにリンクを付与しておく。

Beijing's 2017 crackdown

Jan. 22 – (略)
May 2 – (略)
Jun. 1 – China's new cybersecurity law goes into effect, which requires foreign businesses in the country to store crucial data on local servers.

企業データの国外持ち出しが許可制に
Jun. 22 – (略)
Jun. 29 – (略)
Jul. 10 – Beijing orders China Mobile, China Telecom and China Unicom to bar the use of VPNs by Feb. 1, 2018, according to a report.

すべてのVPN遮断を中国政府が要請-技術的に可能か考察してみた
Jul. 18 – (略)
Jul. 31 – iPhone-maker Apple pulls several VPN services from the local version of the App Store — the move is slammed by multiple VPN service providers online.

中国で規制されたVPNアプリをアプリストアからダウンロードする方法
Sept. 4 – (略)
Sept. 7 – (略)
Sept. 25 – (略)
Oct. 1 – New rules require internet users to register their real names when using online forums.

中国ネットで逮捕されないための,たった9つのこと

China has launched another crackdown on the internet — but it's different this time

直に体制へ影響をおよぼしかねない行為や発言が対象となるのは天安門事件前からの伝統だ。ただ、習近平政権になってからは、媒体や手段も逮捕・実刑を受けるケースが出ている上に、首謀者以外も投獄されている。インターネットの影響力をよく理解している同氏らしい手法と言える。

VPNツールを開発、自身のサイトで販売した男性が、懲役9ヶ月の有罪判決を受け刑務所に収監された。中国当局の意図しないアクセスを幇助した場合、有罪となるモデルになりそうだ。

規制はゲームや国家、香港へ

VPNなど思想統制を回避する仕組みへの規制や取り締まりは続いているが、その周辺領域にも影響はじわじわ出ている。先の十九大では毛沢東思想以来の『習近平思想』が採択されている。この習近平思想を導入する大学が相次いでいるという。

中国共産党大会で党規約に入った「習近平思想」について、中国各地の大学が教育や研究に取り入れる動きが相次いでいる。「習思想」は指導者の名前を冠した政治思想としては毛沢東、鄧小平以来で、理論面で大きな権威を得た習近平総書記(国家主席)に対する「忠誠競争」の側面もありそうだ。

「習思想」大学が導入競争 学問の自由侵害懸念も

愛国教育への反感で雨傘革命まで起きた香港では、さらに外堀を埋めるような新規制が成立しようとしている。国歌への侮辱などを禁止する国歌法である。

中国の全国人民代表大会(国会に相当)常務委員会は4日、香港の「憲法」にあたる香港基本法を改正し、中国の国歌に対する侮辱行為を禁止する国歌法を付属文書に盛り込んだ。国営新華社通信が伝えた。サッカーの試合前の国歌斉唱などの際に、ブーイングを浴びせる若者らを取り締まる狙いがある。

中国、香港にも国歌法適用へ ブーイング取り締まる狙い

この国歌法、中国大陸も対象範囲となっている。何故か?実は人権派と呼ばれる民主運動家や環境問題などで抗議する民衆が国歌を文字って抗議する動画が次々とアップロードされているためだ(もちろん、中国大陸からは削除されているが)。文字通り、人民の口封じというわけだ。

Yahoo! Japanの検索エンジン規制も続いており、今後も解除されることはないだろう。そんな習近平政権が続投、ネット規制が継続・さらに強化されるという可能性は高い。

まさに在中邦人にとっては悪夢があと5年・10年続きそうである。