中国では6月1日よりサイバーセキュリティ法が施行され、ネット規制がますます強化されている。そんな中国で使えるVPN機能付きブラウザがリリースされたのでご紹介。
ネット規制のいま
習近平が政権を掌握してから5年が経った。この間、中国当局のネット介入はとどまることなく、強化されてきた。おさらいまでに、近年成立した規制関連法をあげると以下のようなものがある。
- サイバーセキュリティ法(中国語名:网络安全法) → 紹介記事
- 反テロ法・スパイ法(中国語名:反恐怖主义法・反间谍法) → 紹介記事
- 中国当局がネット抑圧強化を決定(中国語名:国家安全法) → 紹介記事
2012年秋以降、中国国外のVPN業者が、次々と当局からブロックされているのはご存知の通り。今年に入ってからは、中国国内のVPN業者でも当局の許可が必要になるなど、その介入の度合いが強まっている。
さて、そんな中国の全国人大常委会で、新たに『国家情報法』なる法案が検討されている。
中国はアジアでも制度がよく整った国家で、情報公開も先進的である。上述の『国家情報法』も、その概要と詳細が下記全人代サイトで見られる。詳細は割愛するが、今までの個別法案を運用する統括的な法案になるようだ。
处理好与国家安全法、反间谍法、反恐怖主义法等法律的关系,做好与这些法律的衔接。
いずれにしても、中国のネットが今後も自由化される見込みは絶望的ではないだろうか。
VPNブラウザ
そんな中国で自由なネット環境を手に入れるには、選択肢があまりない。個人のレベルではVPN程度しか手段がない。モバイル環境で、個別のアプリを使う場合-FacebookやTwitter、Google Playであれば、VPN以外に手段がないのが実情だ。
ただ、単純にネットサーフィンをするだけであれば別の手段がある。Web ProxyやVPNを含んだブラウザを使うことだ。当サイトでも以前紹介したアプリのPuffinもこの種類になる。
今回、紹介するのFreeBrowserというAndroid向けブラウザもその1つ。残念ながらiPhoneやiPadなどiOS向けはリリースされていない。
アイコンがどことなく某ブラウザにそっくりなのはご愛嬌だ。開発元はGreatFire.org。どこかで聞いたことがあるような?と思った、あなたは中国通である。FreeBrowserの公式サイトは下記になる。
ただし、サイト自体が2015年ごろからブロックされており、ダウンロードのリンクについても適時変更されているが、ブロックされている。公式サイトから入手するのはお手上げのようだ。
FreeBrowserのダウンロードとつかいかた
そこで、ブラウザのインストーラを当管理人がダウンロードして、Yahooストレージに転載した。
Yahoo!ボックス
apkのインストーラ自体46MBほどあるので、ゆっくり待ってほしい。インストールが終わって起動すると、ブラウザの内部のVPNモジュールが中国国外のサーバに接続しにいく。
海外サーバに接続が終わると、FreeBrowserのメインページが開かれる。このメインページが開ければ、海外サーバ経由で国外のサイトに接続されている。
ちなみに、どこにこのFreeBrowserのサーバがあるのか?であるが、私がテストしたときは香港のサーバのようだ。
”LeaseWeb Asia Pacific”と言うのは、香港にあるクラウドサーバサービスのようだ。また、サービス名に”Confirmed Proxy Server”と書いてあるので、ブラウザが中国国外のサーバを経由してデータ取得しているのがわかる。
台湾Yahoo!などもしっかり開けるので万々歳である。
正体はChrome派生ブラウザ
このFreeBrowserは、独自ブラウザではない。ブラウザのメニューからヘルプを見てみると、Chromeと書いてある。また、著作権にGoogleと記載されている。
つまり、GoogleのChromeをベースとした派生ブラウザなのである。
Chromeの派生ブラウザで有名なのはOperaなどがあるが、中国に特化したブラウザだと考えればいいだろう。開発元の技術レベルが高く、アプリが取得する権限も必要となるサービスがなければ一切取得しない。
過去の経験や中国当局の対策を考えると、こういうソフトやサービスがいつまでも使えるとは考えづらい。ただし、お手軽に金盾を乗り越えてサイトが見られるツールが増えることはいいことである。可能であればiOS版があるといいのだが。
いずれにしても、継続的なバージョンアップを期待したい。
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