中国と言えばQQやWeChat(微信)だが、どちらもテンセント謹製である。そんなQQにお年玉機能があるのをご存知だろうか。オフラインでもオンラインでも拝金主義にまみれた中国をご紹介。
オンラインお年玉-QQ红包
QQはそもそも何か?という人は、まず以下の記事を参考にしてほしい。
いつの頃からか、QQにQQお年玉(以下、QQ红包)という機能が実装されている。私の記憶が正しければ、中国スタッフの間で話題になり始めた一昨年の秋頃からであろう。
仮想通貨としてのQQ币自体は、かなり前からある。私がQQのアカウントを作った2008年頃にはすでに実装されており、QQ会員費やゲームの支払いに当てることができていた。このQQに人から人へ、またはグループ参加メンバーへQQ红包を配布する機能がついているのだ。
場所はチャットウインドウの真下にショートカットがあるので、中国版QQを使っていると目につくはずだ。
この機能はあまりにも中国的過ぎる(拝金主義)のか、国際版や日本版には付いていない。
これを使うと、たとえばだが自分が管理しているグループ内に対してお年玉(红包)をばらまくことができる。
公式リアルマネートレード
このQQ红包機能、ただのお遊びか?と思うかもしれない。Facebookのゲームなどにも、ゲーム内のアイテムをプレゼントする機能があるので、似ていると言えば似ているのだ。
しかし、決定的に違うのは、これが現金、銀行カードに紐付けることができるのだ。
もしも、中国人のQQグループに所属していると、以下のような画面を見たことがあるかもしれない。これは、拼手气红包である。かんたん言えば、お年玉の早い者勝ち機能である。
チャットの会話にこんなアイコンがでてくる。取られないうちに、QQ红包のアイコンをクリックすると受け取れるというわけだ。
一般のメンバーもQQ红包をばらまくことができる。実際に推してみると、以下のような画面で設定できる。操作はかんたんで、人数と支払い総額を指定するわけだ。
また、特定のメンバーにばらまくことも可能である。
オンラインゲーム内の仮想通貨を、実際の貨幣を使って売買することをリアルマネートレードと呼ぶ。
リアルマネートレーディング(英語: Real Money Trading、リアルマネートレード(英語: Real Money Trade)とも。 以下RMT)とは、オンラインゲームやスマホアプリのアカウント、キャラクター、アイテム、ゲーム内仮想通貨などを、現実の通貨(リアルマネー)で売買する経済行為を指す。
こういった行為はゲームのバランスや、ゲームの楽しみを破壊するためにほとんどのオンラインゲーム運営会社は禁止している。それを運営元が元締めしているのだから、ヤクザ顔負けである。
記録して管理できるお年玉
さて、取得したこれらQQ红包はどこへ行くのか?であるが、アカウント画面に実は管理項目があるのだ。
左サイドバーにあるQQ钱包(QQお財布)をクリックすると、QQ红包を含むQQ钱包の管理画面が出て来る。もともと、ここで携帯電話のチャージや公共料金などの支払いができるのだが、ここにQQ红包もあるのだ。
もらったQQ红包はここにストックされる。これらを携帯電話のチャージや理財への投資、京东でオンラインショッピングしてもよし、QQゲームの通貨換金してもよしである。
普通、お年玉は親しい間柄でやり取りするものなので、記録する必要など本来不要だと思う。しかし、QQ红包はそういう性質のものではないので、お年玉を誰からまたは誰にあげたのか?の記録簿機能がある。なかなかエグい。
実はこれだけにとどまらず、このQQ红包の絵柄(カバー)を着せ替えする機能も付いており、この絵柄の種類がQQの会員ランクで決まるセコさも実装しているのだから脱帽である。
人の心をお金で買えるのか?
ざっと見てもらうと、いろいろエゲツないなぁと思うはずだ。人の関心(または感心)をお金で買おうという思考回路は、やや理解に苦しむ。だが、これらのシステムをどこかで見たことがないだろうか?
そう、中国版ニコ生の仕組みそのものである。
この中国版ニコ生の仕組みは、放送主がニコ生の放送枠を取得すると、PV数(再生回数)に応じて運営からの報酬がもらえる。これに加えて、架空のプレゼントがポイントとして加算され換金できる。プレゼントには等級があり、少ないポイントしかない視聴者からでも参加できるというものだ。外見の良い女性や少数のイケメンの気を引こうと、多額の金銭を貢がせるという機能である。
そう言えば、支付宝(Alipay)の運営元も似たような仕組みを作って、ポルノ騒動ネタになっていたのを思い出す。
どうもこの国は、文化大革命で道徳やら文化というものを徹底破壊したために、お金がすべてであり、お金でなんでも解決しようという思考回路に落ち着いたのではないか?社会の信頼性を破壊したので、お金しか拠り所がないわけだ。
支付宝(Alipay)のように信用を基本とするところがこんなのをやるのはどうかと思ったが、どこかの国でも銀行が街金(サラ金)をやる時代なので、同じ穴のムジナなのかもしれないが。
こういうお金で解決!と言う思考回路は、小さい頃から叩き込まれるためか、日本に来てからも治らないケースが各事象からチラホラわかる。
在留カードのような資格も、たとえ偽物でもお金で解決しようとしたり、手持ちの口座をお気軽に売買しちゃうなどなど。
結婚相手もお金に換算
こういう思考回路は、人生の中で重要な決め事である結婚にも入り込んでくる。
つまり、結婚相手を資産など金銭に換算して考えてしまうわけだ。最近、ネットで出回っている結婚相手のランキング表などが最たるものだ。たとえば、北京でランクがもっとも高いのは北京(京籍)の戸籍を持ち、市中心部や教育一等地に住宅を持っていて、男性なら海外留学経験、女性なら4年制の大学本科卒業を満たしている人と記載されている。
タグ付けで物事を考えるのを合理的と言うのか、銭ゲバ的と呼ぶのとどちらがいいのか議論できそうである。
もちろん、こういう格付けをしたくなる中国の事情もある。たとえば、これだけ戸籍を重視するのは、各国立大学が学区(その戸籍を持っている住民の居住地)と学区外で試験の足切り点に差をつけていたりするためだ。北京であれば、最高学府に子供を入りやすくしようとする親心が働くわけだ。
前者列出户口鄙视链(以京籍京户为最高),房产鄙视链(以中心城区和教育质量高的城区为最高),学历鄙视链(男以海归博士最高,女以本科最高)。后者列出相亲男女双方从顶配到高配到标配到低配到简配到不考虑的详细条件。
ちなみに、このランキング表を男女別で書き換えたのが、以下のもの。
男性は資産力、女性は出身地タグ付けである。婚活の無限ループに入り込む独身男女のために、日本でもこういう表を作って配布してみたら一刀両断!…そして、大炎上間違いないであろう。
中国人の名誉のために言っておくと、理解できないわけではない。中国は、共産主義を掲げているもののセーフティー網がびっくりするほどお粗末なため”お金がない=死”を意味する。病院に行っても日本のような国民皆保険制度はないので、見てもらう・検査してもらうのに先払いのお金が必要なのだ。
とは言え、中国共産党も長いことポストや人間関係を賄賂で築いてきた歴史がある。やはり、蛙の子(人民)は蛙なのだろうか。
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