どのVPNを選ぶべきなのか?
2015年の中国は自由なネットから程遠い不幸な1年だった。2016年は状況がさらに悪化する可能性が高い。それだけにどのVPNを選ぶべきなのかが重要だ。ポイントをご紹介。
ネット規制・検閲強化法案や施策が次々
中国が2015年に成立させた法案や施策で、ニュースにもなったのは次のとおりだ。
- 1月:一部VPNサービス遮断(中国政府VPNサービスを遮断!?最新版金盾で接続検証)
- 同上:大規模サイバー攻撃(VPN Gate、iCloudに続いて大紀元も中国サイバー攻撃に)
- 4月:ログインコードを一部改ざん(中国当局がFacebookをクラッキング中)
- 6月:中国電信が海外との通信一部遮断(中国当局が海外との通信20%近くカット中)
- 7月:一部コンテンツを禁止(中国当局、香港・台湾曲中心に120曲を禁止)
- 8月:一部VPNプロトコル(LT2P)遮断(速報:一部VPNサーバが中国で規制)
- 12月:一部VPNサービス遮断(中国当局がVPNでサービスを個別遮断)
- 同上:反テロ法成立(反テロ法成立であなたもテロリスト)
上記のほかに、現在検討中の規制法案が複数あるという状況だ。ほかにも、法の運用で、デマを流したと称して、随時マスメディア関係者を逮捕しているのは、周知のとおりだ。
しかし、よくもまぁ、これだけいろいろと騒動を起こすものだと感心する。
VPNを比較するときの基本
VPNを選択するときの基本的な方法は、下記のコラムから変わっていない。
ポイントは次の5つ。
- 値段:コストパフォーマンス
- 安定性
- 速度:スピード
- セットアップのかんたんさ
- サポート
この基本的な考え方はかわらない。その上で、さらに3ポイント追加したい。
- 中国近郊VPNサーバの数
- サポートプロトコル数
- ニュースレター配信
理由を次に述べていく。
1.中国近郊VPNサーバの数
VPNの速度は、VPNサーバとの距離、VPNサーバのネットワークの太さ(帯域)と関係する。先進国と呼ばれる地域のネットワークは、とても太いのでここは問題にならない。ポイントは、中国からどれだけ近い場所にサーバがあるか?だ。物理的に近い場所にあればあるほどいい。
また、2000年後半のYahoo! Japan規制からわかるように、サーバが1箇所というのもリスクだ。サーバも分散しているのが望ましい。たとえば台湾や香港、マカオ、韓国などにも予備サーバがあるといい。
小さなVPN業者-特に個人運営などの日本人VPN業者-は、サーバが規制されるとその時点で致命傷となる。
2.サポートプロトコル数
VPNにおけるプロトコルとは、かんたんに言えば暗号化の方法だ。
PPTPやLT2Pなどだ。特定のサービス、プロトコルを狙い撃ちした規制を当局はしばしばしてきた。そのときに、複数のプロトコルをサポートしている方がリスク分散になる。
この点で、Cameleonプロトコルを持つVyprVPNはおすすめしたい。
3.ニュースレター配信
VPN選びでもっとも重要なのは、障害発生時の連絡手段や告知方法の有無だ。サーバの増強や設置場所の増加、障害発生時の情報などは、中国に住んでいると生命線と言える。私自身、利使っているVPNプロバイダーのニュースレターを常に購読をしている。
もちろん、広告的な内容もある(と、言っても楽天スパムに比べればかわいいもの)が、規制情報なども即時教えてくれるのはありがたい。また、同時に問題発生時の問い合わせ先を併記していることが多いので、サイトのアクセスができなくても心配無用だ。
まとめ
取り締まりの強化や規制の範囲は、弱まるどころか強くなる一方である。中国当局のこれらの施策は、一過性の取り組みではなく数年単位での計画的なものだ。
今後のことを見据えた慎重なVPN選びが必要である。みなさんの参考になれば幸いだ。
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