VPNが中国でつながらない?金盾騒動まとめ

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VPN業者単位ではなくVPNサービスごと規制?

VPNが中国でつながらない?2015年金盾騒動まとめ

アメリカ・ニューヨーク発、2015年1月23日のニュースでVPNが一斉に規制されて使えないという報道があった。業者が規制されたのではなく、サービスがつながらないと言う。騒動の詳細を振り返りたい。

インターネット規制”金盾”とVPN

中国では90年代末から検閲と情報統制の一環としてインターネット規制が始まっている。その基幹となるシステムが金盾と呼ばれるもの。2000年台の運用開始から何度も強化されてきたが、今回は2012年に続いて大幅な機能強化がされ、対象となる範囲が広がったようだ。中国の検閲規制については、下記を参考にしてほしい。

中国は改革開放で経済は発展した。しかし、今なお社会主義の一党独裁国家である。体制維持のために中国のインターネットは、日本では考えられないような規制がつきまとう。そんな中国インターネットについて解説する。

記事で述べているとおり、この金盾自体が国家政策として実施されている。そのため、中国共産党が大幅な政策変更や与党として政権を追われない限り、続くと見たほうがいい。また、このシステムがどの程度優秀であるかは、以下の記事を参考にしてほしい。

中国のインターネットに対する規制は、見せない規制と検閲両方が一対となっている。それぞれが高度に体系化、システム化されている。国家レベルのプロジェクトで、10年近く運用されている世界トップクラスである。金盾の威力を紹介しよう。

この検閲規制を回避するためにVPNと呼ばれるサービスを中国に住む人は使ってきた(特に外国人)。VPNはかんたんに言えば、中国の検閲規制が及ばない海外のサーバを経由してインターネットにアクセスする方法だと考えてほしい。今までは、この規制がVPN業者ごとに規制をしてきた。たとえばだが、無料のVPN業者などが規制され、中国で使えなくなっていた。

今回はこの規制単位をVPN業者ではなく、VPNサービス(システムそのもの)を対象としてきたという。わかりづらい人のために他の言い方をすると、大阪で韓国人が凶悪犯罪を繰り返すので今までは個別逮捕していたが、今後は韓国人であればすべて逮捕、強制送還をするというようなものだ(ある種、それは正しいかもしれないが)。

報道内容と実環境で検証をしてみた

ニュース内容

今回の報道は複数のニュースソースで流れている。大手IT系情報サイトのテッククランチとロイター通信をあげる。

China Cracks Down On VPN Services After Censorship System ‘Upgrade’ | TechCrunch

China is cracking down on VPNs, software that allows internet users to access Twitter, Facebook, Gmail and others services blocked in the country, according to state media and service providers.

In China, VPN internet access tools suffer further disruptions | Reuters

Internet services that allow people to freely access blocked websites and apps from within China have seen more severe disruptions this week, said three providers, moves that Chinese state media said were justified.

いずれの内容も中国の検閲規制システムがアップデートされたこと、個別のVPN業者ではなくVPNサービスが使えないことを報じている。ロイターは日本サイトがあるが、まだ報じられていないようだ。ブログレベルでは数サイトのニュースが上がっているが、すべて海外サイトからの引用で実環境での報告例はなかった。

そこで、報道された2015年1月24日に現地でテストをした結果が次の通り。

VPN接続検証

検証環境は以下のとおり。

  • 接続環境 中国電信(光ファイバー契約)の固定回線。携帯電話はチャイナユニコム4G
  • VPN Hide My Ass! Pro VPNPureVPN
  • 実験環境 Windows 7とAndroid

中国VPN@Hide My Ass! Pro VPN

まずは、日本サーバへの接続。沖縄サーバを選択。結果はok。FacebookやTwitterへのアクセスも可能。

VPNが中国でつながらない?2015年金盾騒動まとめ-hma接続検証 日本サーバ

※「表記はOnnaだが、那覇の表記ミスだろう」と記載していましたが、恩納村ではと指摘いただきました。訂正致します。

次に香港サーバ。こちらも問題なし。

VPNが中国でつながらない?2015年金盾騒動まとめ-hma接続検証 香港サーバ

いつも使っている台湾サーバだが接続がうまくいかなかった。ただし、後述するAndroid環境で接続が確認できているので規制されていないようだ。キャパシティオーバかネットワークの問題だと思われる。

中国VPN@PureVPN

次にVPN業者を変えてテスト。日本サーバでPPTPとL2TPの両方を検証した。まずは、PPTPから。

VPNが中国でつながらない?2015年金盾騒動まとめ-purevpn接続検証 PPTP

問題ないようなので、次にL2TPで確認。

VPNが中国でつながらない?2015年金盾騒動まとめ-purevpn接続検証 L2TP

どうやらプロトコルに関係がないようだ。では、回線を変えてみたらどうなるのか?

Android@Hide My Ass! Pro VPNPureVPN

Hide My Ass! Pro VPNはPPTP接続で台湾サーバへ。PureVPNはL2TPで日本サーバへの接続を検証をした。まずは、 Hide My Ass! Pro VPNから。

VPNが中国でつながらない?2015年金盾騒動まとめ-AndroidでVPN検証(hma)

問題ない。Twitterとの更新も正常にできた。PCで接続できなかった台湾サーバへの接続もできたので、PC上の問題だろう。PureVPNでも試してみる。

VPNが中国でつながらない?2015年金盾騒動まとめ-AndroidでVPN検証(purevpn)

こちらも問題なかった。

まとめ:中国でVPNは使えるのか?

結論からいうと問題なかった。

しかし、他のVPN業者の中には規制が広範囲に及んでいてまったく使えないとのこと。今回の騒動は、VPN業者側の対応の早さや中国政府の動向をどれだけ注意しているかが分かれ目になっているのではなかろうか。理由としては、もしもVPNサービスごと規制するのであれば、当サイトで紹介しているVPNもまったく使えなくなるはずだからだ。念のため業務用PCで日本本社へのVPNを試したが、こちらも同じく問題がなかった。今回、アップデートされたのは間違いないのだろう。ただ、規制対象は前回(去年春)同様で特定の業者や新規のベンダーを狙い撃ちした感が否めない。

ただ、Androidの場合、Googleサーバに接続できない=メールが読めないだけではなく、アドレス帳の管理、スケジュールの同期、ソフトウェアのアップデートができなくなるということだ。iPhoneでもかなりのソフトウェアがGoogle連携やFacebook、Twitterと共に利用されるのでVPNが使えなくなるのはかなりの痛手だ。在中邦人や中国へ出張する予定がある人は、VPNの選定と複数の方法を確保されることをオススメする。

当サイトでも、中国で使えるVPNサービスをこちら(記事:中国おすすめVPN)で紹介しているので参考になれば幸いだ。

補足1

今回規制でレポートの上がっているAstrill.comは規制の常連。更新がかかるごとに遮断されている。

China reportedly blocking VPNs in new attempt to bolster Great Firewall

補足2

iOS8(iPhone5)上でも確認。PPTP+沖縄サーバだと接続とアクセスが正常にできた。

VPNが中国でつながらない?2015年金盾騒動まとめ-iOS8でVPN検証(hma)

特にOS依存やシステム依存でつながる・つながらないということはないようである。正しいVPNの設定とVPNサービス業者が、適時対応していれば当面は自由なインターネットは確保できると考えて良さそうだ。

補足3

この話題は定期的に出ており、今年に入ってからも1,2度話題に上がっている。詳細はこちらの記事(参考記事:インターネット鎖国)で詳しく述べているが、手持ちでVPNアカウントを数パターン持っておき、順次試していくのがもっとも確実なようだ。

コメント

  1. 中新網の情報によると、Astrillの関係者が語ったとして、iOS devices(IPSec、L2TP/IPSec、PPTP)に基づくVPN PROTOCOLSがブロックされているらしい。

    IPSecは業務で使われている? こちらは重大ですね。

    • そうですね。
      ただ、情報がまだ不確定なので、どういう状態なのかをまずは把握しないと…ですね。

    • EXAMPLE より:

      >iOS devices(IPSec、L2TP/IPSec、PPTP)に基づくVPN PROTOCOLSがブロックされているらしい。
      その可能性は低いと考えます。それらのプロトコルはRFC規定で定められているもので、iOSが開発されるよりも古くから存在しています。世界標準のプロトコルなのでiOSが独自にプロトコルを改変して導入しているとは考えられません。となるとどのデバイスの接続からであれIPSec,L2TP,IPSec,PPTP等のVPNのプロコトルは全て弾かれるはずですが、この記事に示されている実証実験が確かであると仮定すればその反証になりますよね。もちろんVPNプロトコルによるカプセル化の過程で、ISPがパケットを監視して予めそのVPN接続が確立するのを妨害している可能性も有り得ます。ですが中国全土であるということはその実証実験からも否定されますね。(もしも全土でそのような規制が施されていれば、記事中の実証実験は失敗に終わるはずだから)

      • EXAMPLEさん

        コメントありがとうございます。
        ご指摘のとおりです。もともとこの記事の作成した経緯としては、とある掲示板でちょっとした騒ぎになっていたので、そこからの引用をそのままタイトルにしています。
        過去の経緯から見ても、中国政府がやっているブロックはブラックリスト化して弾いているだけなんです。
        この時は、たまたま大手がこぞって弾かれたのでロイターなどにも書かれていましたし、まとめサイトなどは面白がって書いていたのを見て利用した次第となります。

  2. sakyo より:

    HMA!でのVPN接続、iOS8では全くダメですが、iOS7だと問題無く接続出来ます。

    • sakyoさん、レスありがとうございます。
      記事にも反映させましたが、iOS8+沖縄サーバへPPTPだと接続が確認できました。試してみてはいかがでしょうか?

      • sakyo より:

        iOS8からプロファイルのダウンロードが出来なかったので、iOS7のiPad AirからテザリングでJAPAN OKINAWAのプロファイルをダウンロード。無事、iOS8でHMA!のVPN接続が出来る様になりました。

        • おめでとうございます。
          プロファイルをダウンロード出来ない場合のために手動設定しておくといいかもしれませんね。
          設定一覧と方法を記事にする予定です。

      • EXAMPLE より:

        PPTPは安全性に問題があるので使わないほうがいいですよ。L2TPでは公開されている事前共有鍵(いわゆる合言葉に相当します)を使う場合もありますが、それはとても簡単なセキュリティですから、悪意ある攻撃者が接続先のサーバーになりすますこともできます。
        できるだけ信用できる認証局が署名した証明書、または安全に入手できた証明書を介してEnd-to-Endな暗号化通信を交わして確立されるVPNを使うほうが安全ですよ。
        宣伝になってしまうので具体的にどこのVPNサーバーを使うべきとは書きません。

  3. […] が、他の業者の提供しているサービスではブロックされているのかもしれない。 中国IT情報局様の記事「中国政府VPNサービスを遮断!?最新版金盾で接続検証」にて詳しく書かれている。 […]

  4. ケイ より:

    Onnaは恩納(恩納村)ですね。